病識理解の重要性について
1. 概要
病気を受け入れて自己変革をするためには、次のようなプロセスが重要となり特に初期段階である病識理解は極めて重要と言われている。
①病識理解
自分が病気であるという認識をもつこと(障害受容が欠かせない)
②病態理解:病気について知識を身につけること
③自己理解:①、②を基に性格、病気の特性、認知の歪みなどを多角
的に捉え、自己についての理解を深めると共に対処法、治療法につ
いても考えること、精神性発達理論が有効。
2. 病識理解のための障害受容
(1)初めに
障害を持つようになった人が、「自分の障害をどのように受け止め、自分のなかにどう位置づけるのか」といった障害受容の問題は重要。
(2)「障害受容」とは
「障害を直視し、障害に立ち向かい、障害とともに生きることも自己の生き方の一つであると受け止め、生活していくことである」
しかし、定義を厳密に述べている論文は極めて少なく、また簡単すぎてしまい、誤解が生じてしまう可能性もある。
(3)障害受容の5段階
障害受容には次のような段階があるといわれている。
①ショック期:自分自身に何が起こったか理解できない状態。
→しかし、この時期は長くは続かず少しずつ現実を認識できるようになる。
②否認期:自分の障害から、目を背けて認めようとしない時期。
→気持ち的なショックを和らげる意味で重要な時期。しかし、訓練などには積極的ではなく、この時期が長く続くとリハビリを拒否するなどの影響が出てくる。
③混乱期:「怒り」・「悲しみ」・「抑うつ」などが現れる時期。
→家族や医療従事者とのトラブルが生まれやすい時期。しかし、この「怒り」は特定の人に向けられたものではなく、行き場のない怒りを出している事を理解して、受け止めることが大切。
④解決への努力期:様々な事をきっかけにし、病気や障害に負けずに生きようと努力する時期。
⑤受容期:自分の障害をポジティブに前向きに捉えられるようになる時期。
→ネガティブなものではなく、「障害があっても色々な事が出来る」、「障害があるから別の生き方を味わえた」「社会(家庭)のなかで何らかの新しい役割や仕事を得て活動をはじめ、その生活に生きがいを感じるようになった」という様な状態のこと。
もちろん、全ての人が同じような心理的な変化を経験するわけではない。しかし、多くの方にこうした心境の変化が現れると考えられる。