精神疾患の理解を深めるためのブックガイド

作業療法士経験があり精神疾患かつ発達障害当事者であるけん玉が作る精神疾患の理解を深めるためのブログ

うつ病①:診断基準に基づいて

1. 有病率・初発年齢・性差

一般人口におけるうつ病の有病率は、6ヶ月有病率で3~5%、生涯有病率で13~17%(3600万人以上)と報告されている。

発病は児童期から老年期までを含む全年齢層に認められ、平均年齢は20歳代半ばである。またその半数は20~50歳の間に発症し、平均年齢は約40歳といわれている。

女性が男性の2倍罹患すると報告されており、性差が指摘されている。

 

2. 診断基準

A. 以下の症状のうち5つ(またはそれ以上)が同じ2週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも1つは、抑うつ気分、あるいは 2.興味または喜びの喪失である。

注:明らかに、一般身体疾患、又は気分に一致しない妄想または幻覚による症状は含まない。

1. その人自身の証言(例:悲しみまたは空虚感を感じる)か、他者の観察(例:涙を流しているように見える)によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分

注:小児や青年ではいらだたしい気分もありうる

2. ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退(その人の言明、または他者の観察によって示される)

3. 食事療法をしていないのに、著しい体重の減少、あるいは体重増加(例:1ヶ月で体重の5%以上の変化)、またはほとんど毎日の、食欲の減退または増加

注:小児の場合、期待される体重増加がみられないことも考慮せよ

4. ほとんど毎日の不眠(入眠困難中途覚醒早朝覚醒)または睡眠過多

5. ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止(他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的感覚ではないもの)

6. ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退

7. ほとんど毎日の無価値観、または過剰であるか不適切な罪責感(妄想的であることもある。単に自分をとがめたり、病気になったことに対する罪の意識ではない )

8. 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる(その人自身の言明による、または他者によって観察される)

9. 死についての反復思考(死の恐怖だけではない)、特別な計画はないが反復的な希死念慮、または自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画

 

B. 症状は混合性エピソードの基準を満たさない。

 

C. 症状は、臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

 

D. 症状は、物質(例:乱用薬物、投薬)の直接的な生理学的作用、または一般身体疾患(例:甲状腺機能低下症)によるものではない。

 

E. 症状は死別反応ではうまく説明されない。すなわち、愛するものを失った後、症状が2ヶ月を超えて続くか、または、著名な機能不全、無価値感への病的なとらわれ、自殺念慮、精神病性の症状、精神運動制止があることで特徴づけられる。

 


うつ病①:診断基準