精神疾患の理解を深めるためのブックガイド

作業療法士経験があり精神疾患かつ発達障害当事者であるけん玉が作る精神疾患の理解を深めるためのブログ

発達障害②:ASD

1. 概要

 主な特性は「臨機応変な対人関係が苦手」なことと、「こだわりが強い」こと。具体的には、場の空気が読めない、独特な言葉遣いをする、人に対して一方的な関わりをする、興味の範囲が狭い、手順やルールにこだわるなどの行動がみられる。

 

2. 診断基準からみた特性

①社会性の特徴

 ・立場を気にせずトラブルになることがある

 ・融通が利きにくい

 ・正直すぎる

 ・常識不足と言われることがある

 ・協調性が少ない

 ・相手の気持ちが分からないことがある

 ・相手の顔色を気にし、不安になる、疲れる

 

②コミュニケーションの特徴

 ・言葉通りに理解する

 ・はっきりと言われないと気づきにくい

 ・説明がまわりくどくなりやすい

 ・表現が独特、堅苦しい

 ・相手の表情や状況が理解しづらく、会話が一方的になる

 ・気持ちや言いたいことがうまく言えない

 

③想像力の特徴

 ・興味が偏りやすい

 ・みんなの好きなことに合わせるのが苦手

 ・興味が持てない、意義が分からないことにはとりかかりづらい

 ・予定外のことへの焦りが強い、見通しがないと心配になる

 ・いつもと違うと焦る、臨機応変が苦手

 ・全体を把握するのが苦手

 

3. 情報処理過程からみた特性

・Input

①感覚特性

(1) 視覚

・特定の視覚刺激(文字、色、形など)がつらい

・色や明るさに左右されやすい

・特定の視覚刺激でリラックスできる

(2) 聴覚

 ・特定の音色、音声、高低に敏感、不快に感じる、つらい

 ・予期せぬ音、大きな音で不安やパニックになる

(3) 触覚

 ・特定の触覚刺激が苦手

 ・濡れる、触られることに抵抗がある

②理解の優位性

(1) 視覚優位

 ・口頭で説明されるよりも写真や絵、手順書など見てわかる方が理解しやすい

(2) 聴覚優位

 ・言葉で説明される方が理解しやすい

*(1)視覚優位⇔(2)聴覚優位

(3) 同時処理

 ・複数の情報をまとまりとして理解する

 ・全体像を示された方が理解しやすい

(4) 継次処理

 ・手順を追って一つずつ説明すると理解がスムーズ

*(3)同時処理⇔(4)継次処理

 

・処理・判断・Output

③対人関係

・相手の表情や身振りを見て相手の感情を理解(推測)する事

が苦手

・Goサイン、No-Goサインが分からない、判断しづらい

・相手の状況に構わず話しかけてしまう

・例え話や曖昧な言語表現がわかりづらい

・決まった場所やタイミングでのあいさつや報告等、定型的

なコミュニケーションが苦手

・職場での相談、休憩中の雑談など、その場に応じた柔軟なコミュニケーションが苦手

ASDの特性は個人によって異なるため、様々な様相を呈する。

 

4. 治療法

認知行動療法

SST(社会生活スキルトレーニング)

*二次障害の疾患に対する薬物療法は行われるが、ASD例に対する薬物療法は原則行われない

 


発達障害②:ASD

 

 

 

 

自閉スペクトラム症の理解と支援 ―子どもから大人までの発達障害の臨床経験から―

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